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『福音と社会』に掲載された「『LGBTとキリスト教―20人のストーリー』を読んで」について

日本カトリック正義と平和協議会は、『福音と社会』No.323,324,325掲載の書評「『LGBTとキリスト教―20人のストーリー』を読んで」には、看過し得ない偏見、差別的表現が随所に認められ、『LGBTとキリスト教―20人のストーリー』(日本キリスト教団出版局、2022年3月)に寄稿、あるいは対談に応じられたLGBTQ+(セクシュアルマイノリティー)当事者20人の方々を著しく傷つけるものであったと考えます。

また、20人の方々はキリスト者であり、そのうちの多くが、キリスト教会のLGBTQ+に対する無理解と差別によって、教会から排除された経験を語っています。カトリック司祭によって執筆された本書評は、そうした経験にさらに追い討ちをかけるものであり、深刻な二重加害にあたると考えます。

この記事の掲載を決定した『福音と社会』編集部には、この20人の方たちの訴えに真摯に耳を傾け、またその背後にあって、差別によって今なお見えにくくされている数多くのLGBTQ+当事者の方々に想いを寄せ、責任ある行動に向かってくださいますよう、お願いいたします。

日本カトリック司教団は、『いのちへのまなざし【増補新版】』(カトリック中央協議会、2017年3月)において、「イエスはどんな人をも排除しませんでした。教会もこのイエスの姿勢に倣って歩もうとしています。性的指向のいかんにかかわらず、すべての人の尊厳が大切にされ、敬意をもって受け入れられるよう望みます。同性愛やバイセクシャル、トランスジェンダーの人たちに対して、教会はこれまで厳しい目を向けてきました。しかし今では、そうした人たちも、尊敬と思いやりをもって迎えられるべきであり、差別や暴力を受けることのないよう細心の注意を払っていくべきだと考えます」(27)と述べています。

カトリック教会のメンバーである私たちもまた、LGBTQ+の方々に教会の扉を閉ざし、差別し、ときには自死に至るまでに尊厳を傷つけてきたことに気づき、「すべての人はひとしく神の子である」というイエスのメッセージを、この地上に実現するための回心の恵みを、主なる神に願います。

日本カトリック正義と平和協議会
会長 ウェイン・バーント
担当司教 エドガル・ガクタン
協議会一同

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