Prot.SCJP 16-16

2016年11月21日

内閣総理大臣 安倍晋三様

防衛大臣 稲田朋美様

 

日本カトリック正義と平和協議会

会長 勝谷太治司教

自衛隊南スーダン派遣に関する要望書

政府は今月15日の閣議で、南スーダンに派遣される自衛隊の部隊に、安全保障関連法に基づいて「駆け付け警護」の任務を付与することを決定しました。これによって、新任務を付与された部隊は、11月20日より順次南スーダンに派遣され、ジュバ周辺で活動を開始することになりました。

政府は「PKO参加5原則」の遵守と、南スーダンが比較的安定していることを表明していますが、国連潘基文事務総長は「不安定な状態が続いている」と報告し、防衛省作成の「現地状況報告」は秘密保護法によって知ることができません。

安倍首相、稲田防衛大臣は南スーダン派遣の目的を「国際貢献」という言葉で説明します。南スーダンでの国際貢献とは、もはや自国の力では維持しきれなくなった治安を国際協力によって鎮静させ、紛争の犠牲者を一人でも少なくすることです。そのためにできることは何かを考え、行動することが必要です。政府の言うようにジュバが比較的安定しているのであれば、あえて武器使用を可能にする必要はありません。

このことから、今回の自衛隊の派遣には、南スーダンの安定とは別に、安全保障関連法を行使する意図が感じられます。私たちは、武力によって現地の政情が鎮静化するなどとは、信じていません。自衛隊の手に握らされている武器が本当に南スーダンの平和の為に役立つとも、信じていません。日本政府には現地で紛争に苦しむ人々のために働く平和団体を支援することによって、紛争を解決し、和解を実現するよう働きかけることを期待します。

安全保証関連法は、日本国憲法、ひいては立憲制を破壊する法律です。自衛隊は軍隊ではありません。自衛隊は憲法9条に抵触しない範囲で、国内での活動に徹するべきです。私たちは日本政府に、自衛隊を南スーダンから撤退させるよう求めます。