2001年2月20日

学長・学校長・園長 様
日本カトリック正義と平和協議会
担当司教 大塚喜直

カトリック学校の日の丸・君が代・元号についてのお願い

+主の平和
カトリック教育への日頃のご献身に心からの敬意を表します。
さて、1999年は平和と人権に逆行するような諸法律が制定され、8月には充分な議論もないまま国旗国家法が成立し、その後「日の丸・君が代」の強制がより厳しい形で進められていることは、ご周知のことと思います。私ども日本カトリック正義と平和協議会はこのような社会情勢を危惧し、貴教育機関に以下のお願いをさせていただきたく思いました。
多くのカトリック学校では「日の丸・君が代」強制はないものの、従来からの慣習や儀礼として、儀式などで「日の丸」を掲揚し、「君が代」を歌っていることが多いように見受けられます。一方、同じキリスト教学校でもプロテスタント系学校では、「日の丸・君が代」を実施しているところはほとんどありません。
また大多数のカトリック学校では、学校文書や卒業証書などの年表記に元号が用いられ、キリスト暦でもある「西暦」(世界暦)が使われていないのが現状です。これもまた、学校文書を西暦に一本化にするか、または西暦優先にしているプロテスタント諸学校とは対照的です。
現在、カトリック学校はその存在価値が問われていると言われています。これは学校経営のあり方だけでなく、キリスト教学校として、本来のあるべき姿が問われているのではないかと思います。そのためにも、キリスト教の学校でこのまま議論もせずに「日の丸・君が代」を実施し、キリスト暦を尊重しない状態を続けていって良いのだろうかと懸念しています。
カトリック学校がこの問題と真摯に向き合い、「儀礼として当然」という理由からではなく、カトリック学校として福音の光に照らして、日の丸・君が代・元号についての姿勢を見直していただけるよう切にお願いする次第です。諸行事が行われる時期でもありますので、是非ともご検討いただけるようお願い申し上げます。