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Q.4 政治にコミットすることは宗教者としてふさわしいでしょうか。カトリック教会は、政教分離をまもるべきではないでしょうか。

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A 政教分離というと「信仰生活と政治的活動の分離」、つまり、信仰者や宗教団体が政治的な事柄にかかわってはならないことだと誤解されることがあります。しかし、政教分離の原則は国家と宗教団体の関わりを規定するものであって、信仰者や宗教団体が自らの信念に基づいて政治に対して発言したり行動したりすることをさまたげるものではありません。
日本国憲法第二十条には、次のように記されています。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」。
すなわち政教分離原則とは、国家が特定の宗教と結び付いてはならない、ということであり、宗教が「政治」に関心持ってはならない、ということではないのです。
カトリック教会は、キリストの愛に基づき国内と国際間に正義と愛がいっそう広く実行されるべきこと、そして人間の基本的権利が犯されたり、人間の救いが妨げられるような場合には、政治に関する事がらにおいても倫理的判断を下すことを、果たすべき大切な務めとして自覚しています。(日本カトリック司教団『信教の自由と政教分離に関する司教団メッセージ 2007年 2月 21日)
「政治」という言葉は多義的ですが、一般的に、ある時代に自明であるとみなされている意味秩序を形成すること、そしてその秩序に訴えて人間を動かして、自分と他者の関係を秩序化していくことと言えましょう。社会や日々の暮らしの様々な問題を国家や自治体という共同体のなかで制度的に解決するための方法という意味もあります。また、ある社会において、社会とともに生きる人、組織は、その社会をより良いものとすることについて、社会の他の構成員とともに共同の責任を負っているのではないでしょうか。その意味では政治は、私たちが主権在民の原則に則り正当に市民生活を送るためには不可欠のものと言えるでしょう。そのような意味であれば、教会はたしかに「政治」に関与し、「政治的」に活動してきたということができるかもしれません。
教会が「政治」にコミットするのは、キリストの救いを現実社会において実現するため、そして同時に、それは社会の成員としての当然の責任でもあるからです。
イエスがもたらそうとした「社会秩序」あるいは「政治」は、十字架の犠牲によって示された神の愛を伝えること。世のためにご自分を十字架の犠牲に供された神の子の生き方に基づき、その愛への応答として、人間が人間らしく生きることのできる社会をつくることです。ベースである「隣人愛」の発露として「すべての人間の尊厳・人権を尊重」するためには、教会とその信徒は、さまざまの形でこうした「キリスト教的政治」にかかわるべきでしょう。

『なぜ教会は社会問題に関わるのかQ and A』👉 Q-6~8, Q-15

参考文献
第二バチカン公会議『現代世界憲章』(カトリック中央協議会 2014.2)
「信教の自由と政教分離に関する司教団メッセージ」(2007.2.21)
松浦悟郎「政治に向かって発言する教会」(『キリストと同じ夢を見る』〜これからの教会共同体〜ピース9の会 2020.4 所収)

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