A カトリック教会は、死刑制度に反対し、死刑制度の撤廃を世界に訴えています。2018年8月、教皇フランシスコは、死刑制度に関するカテキズムの項目(2267)を以下のように変更し、その立場をいっそう明確にしました。
「今日、たとえ非常に重大な罪を犯した後であっても人格の尊厳は失 われないという意識がますます高まっています。加えて、国家が科す刑事制裁の意義に関して、新たな理解が広まってきています。最後に、市民にしかるべき安全を保障すると同時に、犯罪者から回心の可能性を決定的に奪うことのない、より効果的な拘禁システムが整えられてきています。したがって教会は、福音の光のもとに「死刑は許容できません。それは人格の不可侵性と尊厳への攻撃だからです」と教え、また、全世界で死刑が廃止されるために決意をもって取り組みます」。
日本カトリック正義と平和協議会が死刑制度に反対しているのは、この教会の教えに完全に従うものです。基本的な考え方は「すべての命を尊重する」ということに尽き、これに例外はないと考えます。
また、わたしたちは、犯罪によって傷ついた被害者遺族が本当の心の平安を取り戻すことを心から願っていますが、そのために死刑が有効な手立てであるとは考えておりません。日本カトリック司教団「いのちへのまなざし」第3章「死刑」の項目(p,121)に、以下のように書かれている通りです。
「殺人には殺人で、暴力には暴力で報いることで、凶悪犯罪が引き起こした暴力の連鎖を断ち切ることはできません。加害者が自分の罪を認め、悔い改め、心から被害者に謝罪し、そのことを通して傷ついた人とのつながりを結び直すことができる。現実には非常に難しいことと知りながらも、この希望を手放すべきではない、そうわたしたちは考えます」
以上を踏まえ、日本カトリック正義と平和協議会は、課題別委員会である「死刑廃止を求める部会」を組織して活動し、死刑執行が国内であるたびに、抗議声明を発表しています。
『なぜ教会は社会問題に関わるのかQ and A』👉 Q-28, Q-29
参考文献
『カトリック教会のカテキズム』2267
日本カトリック司教団『いのちへのまなざし』(カトリック中央協議会 2017.3)