日韓の宗教団体・市民団体は、これまでさまざまな交流事業に取り組み、日韓の和解と平和を目指してきました。しかし昨年来、日韓政府間の対立はかつてない状況に陥っています。このたび、日韓の市民社会間で真摯な対話を積み重ね、政府間の対立を克服する道筋を提起していく、日韓の宗教団体・市民団体のプラットフォームが立ち上がりました。

日本カトリック正義と平和協議会も参加しております。

発足式は、下記のように7月2日、ソウルの韓国基督教会館で開かれ、日本側の共同代表・運営委員はオンラインで参加し、発足式の様子は日本キリスト教協議会YouTubeチャンネルで同時配信されますので、是非ご覧ください

https://www.youtube.com/channel/UCkhVW0n4exKmivhkvdXN_wQ

●「日韓和解と平和プラットフォーム」発足式●

日時:7月2日(木)午後2時~3時
会場:韓国基督教会館(ソウル特別市鍾路区大学路19) ⇒日本からはZOOMで参加
司会:カン・ジュソク/金 性 済          ⇒日韓同時通訳で進めます

◇紹介と歓迎:司会者
◇発足の趣旨:キム・ギョンミン
◇経過報告 :ソン・ミヒ/飯塚拓也
◇目的と事業紹介     :佐藤信行
◇共同代表と運営委員の紹介:イ・テホ/比企敦子
◇発足挨拶        :イ・ホンジョン/高田 健
◇祝辞          :イ・ヨンホ(元・産業資源部長官)
◇発足宣言文朗読     :日韓共同代表

*質疑応答

●「日韓和解と平和プラットフォーム」日本事務局
<連絡先>〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18 日本キリスト教会館24号
日本キリスト教協議会(NCCJ)
電話(03)6302-1919

 

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日韓和解と平和プラットフォーム 発足宣言文

韓国と日本の市民社会と宗教界は、日韓両国が不幸な歴史を乗り越えて和解と平和を成し遂げ、東北アジアの平和と共生のために協力する真のパートナーになることを切に望み、 民間の協力を図ってきた。

しかし2018年10月、韓国大法院(最高裁判所)の元強制徴用労働者(徴用工)に対する賠償判決と、これに対する安倍政権の経済報復措置などで、両国関係は最悪ともいわれる対立状態が続いている。

まず私たちは、この厳しい現実の前で、これまでの相互のかかわり方を深く省みて、 両国の新たな出発のために献身することを誓いながら、本日、「日韓和解と平和プラットフォーム(以下、日韓プラットフォーム)」を発足させる。

今後、日韓プラットフォームは、両国間の和解と平和、さらには東アジアの非核平和のための「共同の家」(Common House)を建設するという目標の下、民間の協力と連帯を強化することに最善の努力を尽くす。 このような努力を通じて、民衆の声が聞こえ、日韓社会全般で和解と平和への民意参加が拡大することを信じる。

日韓プラットフォームは、
第一に、「記憶」の大切さを共有する。
加害と被害の苦しい過去を忘却せずに記憶(remember)することは、逆説的だが、健全な日韓関係を始める出発点であり、ひいては信頼に基づいた日韓共同体を再構成(re-member)する上で根本的な土台になる。
第二に、「多様性」を尊重し「違い」を認め合う。
私たちは、日本が帝国憲法の下で覇権主義的な“大東亜共栄圏”建設という名によって侵略戦争を進め、創氏改名や神社参拝などを通じて「皇民化」(徹底した同化による民族性抹殺)を強要し、また韓国の独裁政権が、思想と言論の自由と多様性を抹殺し画一主義を強制した辛い経験を持っている。私たちは、まだこうした歴史の負の遺産を清算できずにいる。「多様性」を尊重し「違い」を認め合うことは、差別と嫌悪のない社会、多様な価値と文化を享受する共生の世界を作る第一歩だ。
第三に、平和づくりに先頭に立つ。
この時代を生きている私たちすべてにとって、「平和」は選択肢ではなく当然の使命だ。特に日本の平和憲法は、東北アジアの平和と共生のための安全装置として、日本だけの資産ではなく、平和を望む世界の人々の貴重な共有財産である。韓半島(朝鮮半島)の平和体制構築は韓半島(朝鮮半島)をこえて、東北アジアに平和と協力の新しい時代を開き、世界をより平和的なところへと導く鍵である。
第四に、核/核兵器のない東北アジアと世界をつくることに最善を尽くす。
日韓両国をこえて東北アジアの住民は、日常的な核の脅威の中で暮らしている。東北アジア地域の原子力発電所と核戦争の脅威は、東北アジアをこえて全地球村住民たちと生態系全般の生存権を侵害している。核のない世界を作ることは、これ以上遅れさせることはできない。東北アジア非核地帯と核兵器のない世界(核兵器使用禁止条約発効)のために働きかけていくべきである。
第五に、次の世代が夢と希望を持てる社会を作る。
いま日韓両国は、新型コロナウイルス感染拡大に苦しんでいる。とくに日本においては、政府による生活支援制度の多くから、移民や在日韓国・朝鮮人など社会的少数者は排除されている。偏狭な民族主義を克服し、日韓両国の若者が自由と平等、正義と平和、包容と和合、和解と共生という人類の普遍的価値が実現する社会で暮らせるよう、平和教育・人権教育・多文化教育に私たちの力量を結集する。

日韓両国の市民社会と宗教界は、重大な歴史的転換点に置かれている。現在の危機を「新たな機会」に変えるために、私たちは民意の参加を集め、広げることに最善を尽くすだろう。

2020年7月2日
日韓和解と平和プラットフォーム発足式 発起人一同