2021年2月9日

内閣総理大臣 菅義偉様

経済産業大臣 梶山弘志様

環境大臣 小泉進次郎様

復興大臣 平沢勝栄様

資源エネルギー庁長官 保坂伸様

 

韓国カトリック司教協議会 正義平和委員會

委員長 ペ·ギヒョン(裵其賢) 司教

韓国カトリック司教協議会 生態環境委員會

委員長 バク·ヒョンドン(朴賢東)Abbot

日本カトリック正義と平和協議会

会長 勝谷太治 司教

日本カトリック正義と平和協議会 平和のための脱核部会

部会長 光延一郎 神父

「東京電力福島第一原発の汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水の海洋放出に反対します」

東京電力福島第一原発の汚染水を多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System=通称ALPSアルプス)を通して浄化処理した後の、放射性物質トリチウムを含む水(ALPS処理水)について、政府は近く、海洋放出の方針を決定するとのことです。韓国カトリック司教協議会正義平和委員會、韓国カトリック司教協議会生態環境委員會、日本カトリック正義と平和協議会、同平和のための脱核部会は、この措置に反対いたします。

ALPS処理水の海洋放出という措置については、福島県内外の自治体議会、また福島、宮城、茨城の漁業協同組合、および全国漁業協同組合連合会も「漁業者の総意として絶対反対」という立場を明らかにしています。

さらに、韓国済州道知事も海洋放出の準備を直ちに中止するよう求めています。

 

ALPS処理水の海洋放出については、2020年2月の経済産業省、資源エネルギー庁「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」報告書には、次のことが記されています。

  1. ALPS処理水の処分には、技術実績や2次廃棄物、コストなどから、海洋放出がもっとも適当な方法である。
  2. ALPS処理では処理できない放射性物質トリチウムは、他の放射性物質に比べ微弱であり、「トリチウムを排出している原子力施設周辺で共通にみられるトリチウムが原因と考えられる影響の例は見つかっていない」。
  3. 従来から指摘されている、ALPS処理水7割以上に残るトリチウム以外の放射性核種についても、二次処理をすることで規定値以下に軽減可能である。
  4. 懸念される大きな問題は、国内外の「風評」によって「本来安全な食品・商品・土地・企業を人々が危険視する」ことで生じる「経済的打撃」である。

しかしながら、多くの識者が指摘するように、ALPS処理水7割以上に含まれる放射線核種の二次処理は未だ試験段階にあり、確実な結果を得られていません。また、トリチウムの健康影響については専門家で意見が分かれており、死産、ダウン症の発生、小児白血病などによる幼児期の死亡などとの関係が指摘されています。さらに、ALPS処理水は大型タンク貯留、モルタル固化処分などの方法も考えられ、タンク増設の要地確保には、検討の余地があるため、海洋放出を唯一の方法とすべきではありません*。

そしていっそう気がかりなのは、政府報告書が人体以外の、海洋生物、海洋の環境に対するALPS処理水の影響について、いっさい触れていないことです。むしろ確実にいえることは、ひとたび海に放出された放射性物質は、もとに戻すことはできない、ということでしょう。

原発の建設、維持に関しては、これまで地元民と国民が、どれほど偽りの情報によって惑わされ、苦しめられてきたことでしょう。福島第一原発では、2013年夏、300トンの汚染水漏えい事故を起こしながら、当時の安倍晋三首相は、ブエノスアイレスでのIOC総会で「アンダーコントロール」されていると、明らかな虚偽の発言をおこないました。原発事故で生業や生活が失われ、賠償もままならないまま、避難生活を送る人々が、この言葉にどれほどの怒りを覚えたか考えてください。

東日本震災、東京電力福島第一原発事故から10年目の今、政府はまたしても身体や自然環境への影響の不確かなALPS処理水を海に放出すれば、住民、国民、海でつながる世界の人々に不安と実害を強いることになるでしょう。

身体や環境への被害は、起きた時ではすでに遅く、そして私たちには、未来世代に、本当の意味で安全で安心して生きることのできる地球環境を受け渡す責任があるのです。

カトリック教会の指導者である教皇フランシスコは、世代間正義について、次のように述べています。

「この世界は与えられたものであるゆえに、効率性と生産性をただただ個人の利益のために調整する単なる功利的視点で現実を眺めることは、もはや私たちにはできません。わたしたちがいただいたこの世界は後続世代にも属するものゆえに、世代間の連帯は、任意の選択ではなく、むしろ正義の根本問題なのです」。(教皇フランシスコ回勅『ラウダート・シ』159)

以上から、韓国カトリック司教協議会正義平和委員會、韓国カトリック司教協議会生態環境委員會、日本カトリック正義と平和協議会、同平和のための脱核部会は、共同で、東京電力福島第一原発の汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水の海洋放出への反対を、ここに表明いたします。

* 原子力市民委員会「声明: 政府は福島第一原発ALPS処理汚染水を海洋放出してはならない 汚染水は陸上で長期にわたる責任ある管理・処分を行うべきである」

http://www.ccnejapan.com/wp-content/uploads/2020/10/20201020_CCNE.pdf

原子力市民委員会「ALPS 処理水取扱いへの見解」

http://www.ccnejapan.com/20191003_CCNE.pdf

原子力資料情報室「福島第一原発のトリチウム汚染水」

https://cnic.jp/files/20140121_Kagaku_201305_Kamisawa.pdf

グリンピースジャパン「東電が汚染水を海に流してはいけない4つの理由」

印刷用PDF

韓国語版(韓国司教協議会(中央協議会)ホームページ)
https://cbck.or.kr/Notice/20210063?fbclid=IwAR2_BI0gStw-fnwWGO2N463GFmPAD2ADESLLnMjixjy0aRE8jq-fSym1wxs

 

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