法務大臣 鈴木 馨祐 様
SC-JP-d-24-02
12月10日の「世界人権デー」にあたり死刑廃止を求めます
1948年12月10日、第3回国際連合総会において「世界人権宣言」が採択されました。それにちなみ、毎年12月10日は「世界人権デー」として、世界中の国や機関・団体が人権のかけがえのなさを想起する機会となっています。法務省においても、人権週間(12月4日~10日)が設けられ、人権擁護とその啓発活動への取り組みが、長年にわたって行われています。
私たち日本カトリック正義と平和協議会「死刑廃止を求める部会」は、本日の「世界人権デー」にあたり、すべての人のいのちと人権を守るために、まずは死刑の執行を明確に停止し、そのうえで「死刑廃止国際条約」(自由権規約第二選択議定書)の批准に向けた具体的取り組みを直ちに開始するよう要請いたします。
今年再審無罪が確定したパウロ袴田巖さんは、冤罪死刑囚として、半世紀余りにわたって著しい人権侵害に苦しんできました。死刑は、その執行(処刑)によって「生存権」という最も根源的な人権を不可逆的に奪います。またそれだけでなく、その存在自体によっても一人の人間の人生や人権をこれほどまでに毀損することが明らかになった今、死刑制度そのものの見直しが早急に求められています。
それは、国民の各界・各層の参加を得て設立した「日本の死刑制度について考える懇話会」が、本年11月13日に提出した報告書に次のように記しているとおりです。「刑種としての死刑そのものが根源的な問題を孕んでいるというばかりでなく、現行の日本の死刑制度とその現在の運用の在り方は、放置することの許されない数多くの問題を伴っており、現状のままに存続させてはならない。」
5年前に日本を訪れた教皇フランシスコは、もう間もなく開幕する2025年の聖年の公布にあたり「ゆるしと更生の希望をすべて無にする、キリスト教信仰に反する措置」である死刑の廃止を、声を一つにし勇気をもって訴えるように、と呼びかけています(大勅書「希望は欺かない」10項)。私たちは、教皇フランシスコ、全世界のカトリック教会、そして善意のすべての人と声を合わせ、繰り返し法務省に訴えます。「世界人権デー」にあたり、すべてのいのちと人権を守ってください。そのためにも、一刻も早く死刑を廃止してください。
2024年12月10日
日本カトリック正義と平和協議会 死刑廃止を求める部会
部会長 竹内 修一 神父(イエズス会司祭)