1974年7月21日
決議文
正義と平和を求めるカトリック有志の会

およそ人間の尊厳は、人類の父である神に由来する。思想信条、言論、行動などすべての基本的人権もまた、神によって等しく全人類に与えられたものである。いかなる体制をとる為政者といえども、この基本原理にもとってはならない。
しかるに大韓民国の現政権が、1970年以来とり続けている同国国民に対する弾圧政策は、同国カトリック教会がしばしば指摘しているように、神に由来する基本的権利を、不当かつ極端に制限している。それは人類の尊厳の許し難い挑戦であり、神への冒涜といわざるを得ない。
とりわけ、神の使徒として韓国カトリック教会を率いる池学淳司教が、正当な理由もなく拘束され、非常普通軍法会議へ提訴されるに至った事件は、私たちのこのような現状把握を裏付けるものである。こうした事態を考え、われわれは次のことを決議する。
⒈ 池司教事件に際して韓国百万のカトリック信徒、ならびに同国司教団、全聖職者が一致して行った7月10日の「社会正義を求める徹夜ミサ」にわれわれは深く敬意を表し、池司教が完全に自由を回復するまで韓国の兄弟姉妹と共に闘うことをここに宣言する。
2.我々は、先に発表されたカトリック正義と平和協議会による「7月12日アピール」を全面的に支持し、本日この集会に加わり、独自のアピールを述べられた諸団体の活動的なすべての意思を支持する。
3. 神よりの使命を全うしようとして逮捕された池司教の即時釈放を、われわれは韓国政府に要求する。自由と正義の価値を知るカトリック信者として、われわれは隣国の不幸な現状に対し、もはや無関心ではいられない。現政権の圧政に苦しむすべての人々に、心から連帯の挨拶を送り、韓国に自由と民主主義が回復する日まで、隣人として強い関心と自らの意識を持ち続ける。
4. われわれは、韓国のカトリック信徒と共に闘うため、国際世論を起こす目的で、ただちに行動を開始する。
5. われわれは、日本政府に対して、次のことを要求する。
わが日本政府は、同じく自由主義を奉じる韓国政府に対し、一日も早く良心を取りもどすよう、厳しく忠告しなければならない。それは韓国の現政権下において、民主主義国家が当然保障すべき国民の諸権利が圧迫されているからであり、これに対してわが国が毅然たる態度をとらなければ、それが両国間の友好関係を妨げることになるからである。