1978年10月10日
声明書

今回、日本カトリック正義と平和協議会は京都において、『福音・人権・差別』のテーマのもとに、第4回全国会議を開催しました。私たちは、人権の尊重こそ現代の最も大切な課題であると考えます。その一つとして、日韓関係の悪しき象徴である金大中氏拉致事件は、5年を経た今日においても、氏の人権が侵害されたまま放置されています。この事件は、金大中氏自身の人権の侵害であるのみならず、国家主義の侵害であり、またわれわれ日本人の責任でもあります。この事実が、不明瞭 な政治的決着によって葬り去られようとしていることは、福音的、人道的見地からも、黙視することができません。
最近、韓国より入手した「三・一民主・救国宣言事件被告一同の声明書」、「金大中氏自身の法務部長官ならびにソウル拘置所所長に対する要求事項」、および「金大中氏夫人・李姫鎬女史の報告書」によれば、病身である金大中氏の状況は、一層劣悪なものとなりつつあることが判明しました。
これまで微力ながら韓国の人権問題にかかわってきた私たちは、この事態を重視し、上記の三文書を公表するとともに、氏の基本的人権と自由を擁護するために、すみやかに氏を拉致前の原状に復帰させることを、全国会議出席者の賛同を得て、強く求めるものであります。

日本カトリック正義と平和協議会 担当司教 相馬信夫
会長 森田宗一