1980年10月12日
核廃棄物の海洋投棄に対する抗議声明
内閣総理大臣 鈴木善幸殿
科学技術庁長官 中川一郎殿
通商產業大臣田中六助殿
私たちは、わが国原子力行政当局による、放射性核廃棄物の太平洋への投棄計画に対し、深い憂慮の念を抱くものであります。
投棄の予定海域は、美しい自然と豊かな魚介類に恵まれ、勝れた観光地として、また豊かな漁場として住民にとっては何物にも替え難い大きな生活基盤となっております。この海域に向けて、安全性の確認もされていないままの核廃棄物を大量に投棄することは、同海域及び周辺の住民の生活を脅かすことは明白であります。また、同海域は、原水爆の実験場として被爆を体験した場所を含んでおり、住民からの「非核」へ向けての願いには切実なるものがあります。この願いを踏みにじるごとく、当局が核廃棄物投棄を強行するのであるならば、同じ「非核」への願いを抱く、被爆国家日本の民衆としてもこのことは容認できません。
私たちも、当計画の実施によって子孫と生態系へ及ぼされる被害について深く憂慮し、わが国の原子力発電によって生じた放射性核廃棄物は国内で処理すべきであると考えます。太平洋の住民と共に、わが国の行政当局者に対し、この旨強く抗議いたします。
日本カトリック正義と平和協議会 第6回全国会議参加者一同
担当司教 相馬信夫
会長 森田宗一