1988年7月20日
宣教師の在留不許可理由についてのご質問
法務大臣
林田悠紀夫殿
今年6月1日より改正された外国人登録法が施行されております。施行前日には、法務大臣談話において、指紋拒否者にたいする再入国不許可、在留不許可などのいわゆる報復措置はない旨の発言があり、わたしたちは大きな期待をもって6月1日をむかえました。
カトリック社会司教委員会は、1984年以来、指紋押捺、外登証常時携帯義務の撤廃を含む外国人登録法の抜本的改正を求めてまいりましたが、この間、日本の社会の中で差別に苦しむ方々の今なおあることを思い、キリスト者としての良心に従い、指紋押捺を拒否するカトリック宣教師もあったことは、ご承知と思います。指紋押療拒否をした宣教師3名のうち、1986年12月、マクシム・ドビオン、ヘスス・アルフォンソ・ガレロン両師が、1987年6月よりビセンテ・ボネット師が、法務大臣の自由裁量により不法残留扱いとなり、違法調査が昨年秋頃まで行われました。
6月1日、新法が施行されましたが、マクシム・ドビオン師が6月6日在留期間延長の申請を横浜入管にしたところ「違反調査中であるから」という理由で受理されませんでした。違法調査は昨年来なされておらず、法務大臣の裁決もなく、在留不許可のまま放置されるのはどういうことであるのか理解に苦しみます。
拒否者への在留不許可は、法務大臣の自由裁量による報復措置なのでしょうか。すでに数回にわたり指紋押捺をしているこれら宣教師にたいしては、ぜひ在留を許可されますようお願い申上げますとともに、在留不許可のまま放置しておられる理由についてお教えいただければ幸いに存じます。
日本カトリック司教協議会 社会司教委員会
委員長 白柳誠一