1991年1月31日
湾岸戦争による避難民移送のための民間機チャーターに関するお願い
カトリック教会の兄弟姉妹である皆さまへ
+キリスト、わたしたちの平和!
前略失礼致します。先般、政府はアンマン- カイロ間に、避難民移送のための自衛隊機を派遣することを決定し、政令によってそれを実現しようとしております。国会も国民も合意していない中で、憲法、自衛隊法に関わる重大な判断をしたことになります。わたしたちはこの政府決定に大変憂慮いたしております。しかし、アンマンその他の地に避難してきた多くの人々を、少なくとも非戦闘地域まで移送するための手だてをわたしたちは持っておらず、皆さまと同様、何かよい方法はないものかと日夜祈り続けて参りました。
このような情況の中で、ロイヤル・ヨルダン航空が、自社の飛行機を移送のために提供する用意がある旨表明しました。具体的にはアンマンからカイロまでの移送で、ボーイング727機(139名定員)を1機5万米ドルでチャーターに応じるという内容です。現在ヨルダンは、湾岸戦争において軍事的には中立を標榜しており、テロの標的になるべくもなく、また、アンマン- カイロ間は定期便を多く就航させているため、現地の気象やコースについても熟知しています。
わたしたち司教団は、日本の教会として、日本キリスト教協議会 (NCC)その他広く呼応して下さる諸宗教教団や善意ある市民の皆さまに呼びかけ、このロイヤル・ヨルダン航空機をチャーターし、避難民の移送のために使用して頂くよう、日本政府に要望することを決意致しました。
急を要したため、広く皆さまとご相談する時をもてずに、この文章でお知らせとお願いをすることになった点をどうかお許し下さい。とりあえず、1機目をチャーターし、移送目的のために使って頂くよう本日、政府に申し入れましたが、現地の情報では、現在のところ緊急を要する機数は7機とのこと、今後皆さまはじめ、多くの方々の善意ある拠金によって、自衛隊機派遣などに至らず、具体的に避難民の方々のお役にたてればと念じております。したがって、ぜひ、教会、修道会、その他多くの方々にお声をかけて頂いて、下記方法にてご送金賜れば幸いに存じます。
振込先: 口座名『湾岸避難民救援基金』
太陽神戸三井銀行四谷駅前支店
普通預金3363231
よろしくご協力を賜わりますようお願い申し上げます。
日本カトリック司教協議会
会長 白柳誠一