2019年12月15日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様

法務大臣 森まさこ様

外務大臣 茂木敏充様

日本カトリック正義と平和協議会「死刑廃止を求める部会」
部会長 ホアン・マシア神父

死刑廃止国際条約30周年にあたり、死刑の廃止を求めます
本日は、1989年12月15日に国連総会において「死刑の廃止をめざす、市民的及び政治的権利に 関する国際規約の第二選択議定書」(いわゆる「死刑廃止国際条約」)が採択されてからちょうど 30年となる日です。
この記念すべき日にあたり、私たち日本カトリック正義と平和協議会「死刑廃止を求める部会」 は、日本政府に対し、改めて死刑執行の即時停止を求めるとともに、「死刑廃止国際条約」の批准 および死刑廃止に向けて勇気ある具体的な行動を取るよう要請いたします。「死刑廃止国際条約」 で謳われているとおり、私たちは「死刑の廃止が人間の尊厳の向上と人権の漸進的発展に寄与する ことを信じ」ているからです(前文参照)。
この30年間で、世界では次々と死刑を停止・廃止する国が増え続け、現在ではもはや多くの国で 死刑という刑罰は用いられなくなっています。その一方で、継続的に死刑執行をし続けている日本 政府に対し、国際社会からはたびたび勧告や非難の声が向けられています。「国際社会において、 名誉ある地位を占めたい」と思う私たちは、この状況を大変悲しく、恥ずかしく感じています (「日本国憲法」前文参照)。
先月末には、38年ぶりとなるローマ教皇の来日が実現しました。「すべてのいのちを守るため ~PROTECT ALL LIFE」というテーマのもと、このたび日本を訪れたローマ教皇フランシスコ は、かねてより死刑廃止を国際社会に強く訴え続けていますし、11月25日の安倍首相との会談の場 でも、死刑を含む多くの問題について話をしたと発言しています。
ご存知のとおり、現在のカトリック教会は福音の光のもとに「死刑は許容できません。それは人 格の不可侵性と尊厳への攻撃だからです」と教えており、全世界から死刑が廃止されるべく努力を しています(「カトリック教会のカテキズム」2267番参照)。「いのちの尊さ」を信じる私たち は、教皇フランシスコと、全世界のカトリック教会と、また人権の擁護に取り組む世界中の善意の 人々とも思いを合わせて、死刑廃止の声を挙げ続けます。