日本カトリック司教団は、原子力発電の撤廃を世界に求め、2020年7月、『今こそ原発の廃止を─日本のカトリック教会の問いかけ』の英訳版PDFファイルを、カトリック中央協議会公式サイト(サイトURLを記入)に公開しました。
https://www.cbcj.catholic.jp/2020/07/08/20959/
 2011年3月11日、日本では東京電力福島第一原子力発電所がメルトダウンを含む過酷事故を起こしました。日本司教団は、完全な解決はほぼ不可能ともいえる深刻な被害状況、子どもたちの間でひろがる健康被害の問題に直面し、原子力発電はただちに廃棄すべきであるとの結論に達し、2016年、『今こそ原発の廃止を─日本のカトリック教会の問いかけ』を日本国内で刊行し、このたび英語版を世界に向けてインターネット公開することにしました。
 東京電力福島第一原子力発電所事故から5年半後の2016年11月、日本カトリック司教団は、原子力発電は撤廃するべきであるとの立場に立ち、各分野の第一線の研究者に協力を求め、福島第一原発事故の被害状況、原発の技術的、社会学的な限界、それらについての倫理学的、神学的な考察をまとめ、『今こそ原発の廃止を─日本のカトリック教会の問いかけ』を国内で刊行しました。
 しかし日本司教団は、原発の過酷事故を起こした日本には、世界に向けてこそ、事故被害の実情を知らせ、脱原発を訴える責任があると考えます。なぜなら原子力発電は、ひとたび過酷事故が起これば、広域に、数世代にわたって環境を破壊し、生命と生活の権利を奪う技術だからです。原子力発電は、教皇フランシスコが回勅『ラウダート・シ』で示す共生社会としての地球像とは本質的にあい入れないのです。
 2019年11月、教皇フランシスコは日本を訪問し、東日本震災と福島第一原発事故の被災者・被害者と出会った経験を通し、帰国の際の機内記者会見の場で、「原子力発電所の原子力災害は、すさまじい大惨事です。にもかかわらず、安全性は確保されていないのです 」と述べました(カトリック中央協議会『すべてのいのちを守るため――教皇フランシスコ訪日講話集』p.96)。それは、本書を国際的に公開したいという私たちの希望を強く後押しすることとなりました。日本司教団は、世界中で、様々な立場から、本書が提起する原子力発電の撤廃について、地球の持続可能性のための重要な課題として議論していただきたいと願っています。
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