JP-d 22-01
2022年8月31日
声明文「原子力発電は気候危機の解決策ではない!」
本日2022年8月31日、韓国と日本でいのち、平和、安全な生活を念願するカトリック司祭、修道者、市民、活動家が一堂に会しました。
私たちは問います「原子力発電は本当に気候危機を解決するための解決策でしょうか?」。 近年、私たちは強烈な日差しと豪雨、強風など、これまでにない異常気象を経験しています。
私たちはすでに気候危機に直面しています。 気候危機を誘発する「温室効果ガス排出ゼロ」の推進が切実に求められている今日、私たちの政府は、原子力発電を、経済成長を維持し、気候危機に対応可能な解決策であるとし、原子力エネルギー推進に転じようとしています。
日本政府は、ウクライナ戦争によるエネルギー供給危機を理由に、原発7基の再稼働と、小型原子炉など、新型原子力発電の開発の意志を突然明らかにしました。韓国政府も、安全よりも「成長と気候危機対応のための脱原発からの復帰」を強調し、正規の手続きも経ないまま、老朽化した原発の寿命延長などへの動きを見せています。 果たしてこれは本当に、国民のため、気候危機を解決するための方策なのでしょうか。
原発施設には、未だ知られていない、またすでに忘れられてしまったり、意図的な忘却のための操作や隠蔽が図られた大小の事故があり、より大きな事故を懸念させる杜撰な箇所も指摘されています。これが異常気象にさらされるなら、さらに危険な状況となりうるでしょう。
実際に深刻な非常事態に異常気候、海水温度上昇などのもとで、より深刻な故障につながりうる非常事態もありました。また、ウクライナ戦争によって戦争とテロの脅威に対する原発の脆弱性を実感しています。
たった一度の事故でも復元が不可能なほど深刻な被害を引き起こす原子力発電について、その安全性を、今一度、根本的に見直さなければなりません。
10万年以上隔離管理されなければならない核廃棄物に対する安全な対策はありません。 廃棄する場所がないために、臨時貯蔵施設に積んである核廃棄物だけでも現在約2万トンにおよび、現在、毎年750トンの核廃棄物が排出され、原発の敷地内に仮置きされています。それもまもなく飽和状態になるでしょう。 次はどうすればいいのでしょうか?
原発施設のある地域を訪問すれば、便利さと快適さのためとして行われる原子力エネルギー生産の負荷を、全て地域住民が負っていることが痛感されます。地域内には葛藤が誘発され、住民間の分断も痛ましいものです。
安全な生活空間を求める住民の要求は、8年を超えても解決されず、むしろその地域に核廃棄物保管施設が増設され、新たな原発施設建設まで始まっています。
キリスト教信仰の視点からすれば、原子力エネルギーは神の意思ではなく人間の傲慢によって作られたものです。神の意思は自然と人間が皆一つになって平和に生きていくことですが、「人間が核を分裂させ、核が人間を分裂させる」という言葉のように、核エネルギーは分裂を利用したエネルギーであり、人々を分裂させます。そして、その被害と苦痛は、弱く貧しい人々に集中されます。
いのちを選ばなければなりません。しかしその選択は、わたしたちに不便さをもたらすこともあるでしょう。 誰かの苦痛と涙の上で平安を享受するより、私たちは皆が一緒に生きていけるように不便を甘受する生き方を選択しなければなりません。成長戦略や不正義と戦い、分裂による疲弊を断じて受け入れることなく、心を合わせて平和な世界へと進まなければなりません。そのために皆が一緒に行動することが必要です。
「おお、聖霊よ、聖霊の名前で結ばれた私たちが、神様のいつくしみと正義に従って判断し、私たちの行動が今日、神様の意思に沿うようにしてください」(聖イシドロ)
日韓脱核平和巡礼は、この意志を受け継ぎ、より多くの人々が共に進むことができるよう努めることを約束し、真のエネルギー転換のために次のことを要求します。
– 私たちの要求-
– 住民の健康と生命を脅かす老朽化した原子力発電所の寿命延長を中止せよ。
– 高レベル核廃棄物に答えはない。 原子力発電を直ちに中断せよ
– 新規原子力発電所建設計画を白紙化せよ
– 国会は住民の居住権、生命権を保障する法を制定せよ
– 韓日両国市民の連帯で原子力発電を止め、核兵器も廃棄しよう。
2022年8月31日
韓日カトリック脱核平和巡礼団