1982年5月11日
声明書
―崔基植神父逮捕にあたって―
私たちは3月18日の韓国釜山アメリカ文化センター放火事件犯人を隠匿したという理由で、韓国カトリック原州教区司祭崔基植(チェ・キシク)司牧局長が逮捕されたという報道に接して、兄弟として心を痛めていた。
われわれは事件の真相と経過に関する韓国カトリック教会の公式の資料を心待ちにしていたが、ついにそれを入手したので、本日ここにその資料に基づき、事の真相を明らかにする。
ここに発表した資料から知られるように崔神父は、カトリック司祭として当然なすべき職責を自らの義務として立派に果たしたが故に逮捕されたのであり、キリスト者としてなんら恥ずべき点がないことを確信した。いま獄中にいる崔神父の身辺を案じながらも、同神父の良心の安らかさを思い神のみ前で安堵するものである。
カトリック司祭が助けを求めてきた兄弟に対し愛をもって接し、その良心を覚醒し、自由な意志をもって自ら進むべき道をとるよう導くことこそカトリック司祭の本分であることは明らかである。
崔神父自身の良心宣言は、同神父が正しく適切な処置をとったことをこの上なく雄弁に物語っている。しかし韓国の言論機関が真実とは裏腹に、同神父と教会にたいして非難問責をくりかえし、偏向した報道を行ったことは、一方においてはカトリック司祭の本分に対する無理解に起因すると思われるが、他方全体の状況を見るとき、他意による誹謗と中傷であると思わざるをえない。
われわれは韓国カトリック教会の金寿煥枢機卿と、正義と平和委員会担当司教尹恭煕大司教および池学淳司教、更には韓国カトリック司教常任委員会、正義具現全国司祭団と各教区司祭団などが発表した本事件に関する立場と声明、談話を心から支持するとともに、その痛みを分かち合うものである。
当局は、このようなカトリック司祭の本質と立場を正しく理解し、偏見にとらわれることなく事件の公正なる解決を速やかに行うよう要請する。
最後にあたりわれわれは韓国国民と韓国カトリック教会、特に本事件に関わった崔神父をはじめ多くの苦しみを受けている兄弟姉妹の上に神の加護と恵みが豊かに与えられるよう心から祈るものである。
日本カトリック正義と平和協議会