1985年3月1日
反核太平洋の日
核廃棄物太平洋投棄計画の
無条件・即時撤回および永久放棄を求める要望書
日本政府内閣総理大臣 中曽根康弘殿
外務大臣 安部晋太郎殿
科学技術庁長官 竹内黎一殿
私たちは日本政府に対し、核廃棄物太平洋投棄計画をただちに撤回し、永久に放棄することをここに要望いたします。計画撤回の証しとして、私たちは日本政府に対し1985年度予算案の中から、核廃棄物太平洋投棄計画に関連する研究調査費を削除することを求めます。
ならびに、きたる9月に開催のロンドン条約締約国会議でいかなる結論が出されようと、海洋投棄計画を無条件・即時撤回することを要望いたします。
中曽根首相はさる1月、核廃棄物の太平洋投棄計画は、「関係国の反対を無視して強行しない」と南太平洋諸国首脳に言明しました。私たちはこの表明が、太平洋のーカ国でも反対すれば投棄を実施しないとの日本政府の方針を明らかにしたものとして評価しますが、その一方で「海洋処分計画を変更するものではない」との科学技術庁の発言も伝えられています。私たちはここで、海洋投棄計画「凍結」「延期」ではなく、計画の完全撤回と永久放棄を表明するよう要望いたします。
要望事由
1. 海は私たち太平洋民衆にとって母であり、いのちの源であります。その海を核物質で汚すことは、なにびとであっても、これを許すことはできません。
2. 1980年以来、私たち太平洋諸島の民衆および政府は、日本政府による核廃棄物太平洋投棄計画に強く反対し、一致して計画の撤回を求め続けてまいりました。
3. ヨーロッパ諸国のなかで最後まで海洋投棄を行っていたイギリスとベルギーは、1983年以降、海洋投棄を中止しております。今年秋に開かれるロンドン条約締約国会議の結論がどうであろうと、日本政府が太平洋投棄を実施することは、国際世論を無視することであり、許されることではありません。
1985年3月1日、反核太平洋の日にあたり私たちは、海洋投棄に反対して署名をした世界各国の人々、そして、核のない世界実現を願う全世界の民衆を代表して、日本政府の核廃棄物太平洋投棄計画の無条件・即時撤回を強く要求し、世界各地より寄せられた署名を提出します。なお署名運動は今回を第1期とし、1986年3月1 日までを第2期として続行いたします。
核廃棄物海洋投棄計画の撤回を求める北マリアナ連邦代表団
海洋投棄反対国際署名運動主催団体
カトリック・グアム・北マリアナ教区
カトリック・キャロライン・マーシャル教区
ベリス・メルセス宣教修道女会ミクロネシア管区
カトリック正義と平和広島協議会
日本カトリック正義と平和協議会
賛同・参加団体
日本キリスト教協議会平和委員会・核問題委員会
自主講座未来を考える会婦人民主クラブプルトニウム研究会
海洋投棄計画撤回要求国際署名集約数
(1984年3月1日~1985年2月28日)
北マリアナ連邦 6,548 インド 14 スペイン 76
ベラウ 4,198 スリランカ 3 イタリア 85
ミクロネシア連邦 3,339 バングラデッシュ 35 スイス 11
マーシャル諸島 41 パキスタン 21 オーストリア 40
キリバス 13 米国 3,411 西独 225
ツバル 4 カナダ 434 オランダ 49
トケラウ 1 エクアドル 7 ベルギー 338
パプア・ニューギニア 6 チリ 2 ブルガリア 2
ソロモン諸島 1 ペルー 7 バーレーン 2
116
ニューカレドニア6 アルゼンチン 1 エジプト 1
フィジー 5 ブラジル 7 ギリシャ 1
西サモア 24 グアテマラ 65 ボリビア 20
ハイチ 2 メキシコ 19 ナイジェリア 6
ニュージーランド9,310 ニカラグア 1 タンザニア 1
オーストラリア 9,378 コロンビア 1 ケニア 19
日本 16,060 アイスランド 1 南アフリカ 4
韓国 65 ベネズエラ 2 コスタリカ 1
台湾 85 スウェーデン 44 ホンジュラス 1
フィリピン 213 デンマーク 455 ザイール 51
マレーシア 6 アイルランド 20 ジンバブエ 1
インドネシア 8 フランス 47 タイ 3
グリーンランド 1
総計 70カ国 55,967名分
★この署名に反核太平洋国際署名(旧署名)5,419名分も同時に提出します。 (なお、日本国内で行った第1回、第2回の署名運動―1980年6月~1982年7月―の 結果、57,043名分の署名が集まり、科学技術庁官に提出した)