1986年1月7日
ご質問状
法務大臣
鈴木省吾殿
1984年2月28日付けで、日本カトリック司教協議会社会司教委員会は、総理大臣、法務大臣、自治大臣に宛てて建議書を送り、外国人登録法の改正および指紋押捺制度と外国人登録証の常時携帯義務の廃止を要望いたしました。
それに対してなんらのご回答もいただけませんでしたが、これが、カトリック司教のみならず、信徒たちの願いでもあることを明らかにするための署名を添え、1985年7月12日、上記の要望に加え、指紋押捺拒否者に対する告発を自治体に強要しないことと、再入国不許可等の報復措置をしないことを強く求めました。
にもかかわらず、エチエンヌ・ド・グドネール神父(カトリック仙台教区所属)が、自己の良心にもとづき指紋押捺拒否をしたことに対して、外務省より、同神父の母国であるベルギー国駐日大使館を通じ、同神父の日本滞在許可を更新しない可能性があるとの通知を受けました。
そこで、1985年11月20日付けで、法務大臣に宛てて、日本カトリック司教協議会副会長安田久雄大司教他7名の司教の連名で、同神父の日本滞在期間延長に関する嘆願書を提出いたしました。
1985年12月11日、同神父は、法務省から、3ヵ月以内に指紋押捺をしなければ国外退去に付す旨通告を受けました。
ロナルド・藤好氏、キャサリン・森川氏、崔昌華氏に対しては、在留許可更新と指紋押捺拒否を別個のものとした措置がなされているにもかかわらず、30有余年熱心な宣教師として人々の幸福のために努力貢献してきた同神父に対しては、単に指紋押捺を拒否したということで、なぜ、国外退去という法治主義の原則にもとる報復措置がなされなければならないのか、私たちにはどうしても理解できません。
つきましては、このような措置の法的根拠をぜひとも明らかにしていただきたく、ここに質問状を提出いたします。
ご回答は1986年1月27日までに、下記宛て文書にてお願いいたします。
日本カトリック司教協議会 社会司教委員会
委員長 白柳誠一