1986年12月13日
要望書

法務大臣
遠藤要様
日本カトリック司教協議会 社会司教委員会
委員長 白柳誠一

日本のカトリック教会の宣教師であるマキシム・ドビオン神父とヘスス・アルフォンソ・ガレロン神父は、指紋押捺拒否を理由に、在留期限がそれぞれ1986年12月6日、8日に切られ、現在不法残留扱いになっております。
両人とも、自分の良心に従い、差別されている人々の心に身を置き、かれらとともに生きるには指紋押捺拒否をする以外にないと判断したものです。
両人は、信教の自由にもとづきキリスト教を宣教し、日本の社会のために誠実な働きを続けてきました。いまかれらを失うことは日本の教会にとって大きな損失となるだけではありません。日本政府が良心に従い行動した外国人宣教師を国外追放という処置によって罰するならば、国際的に大きな非難を浴びます。ローマ教皇をはじめ全世界のカトリック教会はいま日本政府の態度に注目しております。
また、1986年6月16日より不法残留扱いを受け、来日の目的である学業もままならないカトリック信徒ペトロ金明植氏もおります。
日本政府が、内外の声に応えて、外国人登録法の改正を準備していることは喜ばしいことと思いますが、良心的拒否者に対しても同様の前向きの姿勢を示され、一日も早く在留期間の更新を行っていただけますよう要望いたします。
1986年9月24日、東京で開催された第4回アジア司教協議会連盟総会に際し、私どもは韓国カトリック教会の司教たちと連名で中曽根総理大臣と貴職に外国人登録法の改正と指紋押捺制度の撤廃を求めた“Statement”を提出いたしましたが、ここに 改めて当委員会委員の署名を添えて、良心的指紋押捺拒否者に対する誠意ある解決を要望いたします。

白柳誠一 安田 久雄 相馬 信夫 濱尾文郎
田中健一 石神忠真郎 佐藤敬一 佐藤 千敬