1990年12月8日

日本国憲法が定めた政教分離、主権在民、戦争放棄に関する要望書

内閣総理大臣
海部俊樹様
日本カトリック司教協議会
常任司教委員会

私どもは、日本国憲法が定める政教分離の原則が厳守されることを願い、1989年11月9日、国家行事としての即位の礼と皇室の私的宗教行事である大嘗祭とが混同の余地を残さぬよう、したがって、大嘗祭に国費が使用されないよう要望いたしました。
しかし、政府は、大嘗祭を宗教色はあるが公的性格を持つ皇室行事とした上で、それに国費を支出し、また、三権の長が出席されました。憲法に定められた政教分離の原則が厳守されなかったことに対して、私どもはここに遺憾の意を表明いたします。
さらに、政府は、即位の礼が国事行為であるにもかかわらず宗教的伝統を導入しました。これに対しても私どもは同様の意を表します。
私どもは、かつて日本が、国家と宗教と武力とが一体となり、日本のみならず世界特にアジアの人々の基本的人権と平和を侵害したとの反省を込めて、憲法に政教分離、主権在民、戦争放棄を明記したのだと理解しています。
私どもは、政府が憲法のこの基本原則を厳守し、世界平和に貢献されますよう要望いたします。

日本カトリック司教協議会常任司教委員
白柳誠一 カトリック東京大司教区司教
安田久雄 カトリック大阪大司教区司教
島本要 カトリック長崎大司教区司教
相馬信夫 カトリック名古屋教区司教
濱尾文郎 カトリック横浜教区司教
佐藤千敬 カトリック仙台教区司教
深堀 敏 カトリック高松教区司教