内閣総理大臣 小泉純一郎様
外務大臣 川口順子様
駐日米国大使 ハワード・ベーカー様

2002年2月15日

日本カトリック正義と平和協議会
会長 松浦悟郎司教

日本国総理大臣、及びアメリカ合衆国大統領の明治神宮参拝中止の申し入れ

2月15日の新聞報道によりますと、首相は「本殿の外で待機する方針を固めた。」と伝えています。
しかしこの参拝は両国にとっては公式行事であり、首相が、どのような方法であろうと国家元首ブッシュ大統領に付き添うことは、憲法の原則に抵触する恐れがありますので明治神宮参拝を中止されることを要請いたします。

1.国家間の外交行事に宗教行為を組み入れることの問題
もとより、相互の歴史的、文化的、精神的遺産を理解し、尊重することは外交上の基本的要件の一つですが、それは「信教の自由」と「政教分離」とを前提にしたことであって、この原則に反して、宗教を外交の、外交を宗教の手段として利用することは、法治国家にとって許されることではありません。総理大臣と政府自体が、憲法の原理原則を蹂躙し、各人の基本的権利と宗教的心情を侵害することは許されることではないばかりか、外国元首をも同様の事態に立たせることは、外交の原則にも反することは明白です。

2.特定の宗教施設に公人として参拝することは、憲法(第20条3項及び99条)違反
小泉総理大臣が2001年8月13日に行った靖国神社参拝は、上記憲法規定に対する重大な違反であることは、目下、司法の場において係争中ですが、明治神宮参拝によって生じる事態は一層弁解の余地のないものと思われます。憲法の原則に違反して断行された靖国神社参拝は我が国の国際関係に計り知れない損失を招き、未だに信頼回復も及ばないこの時に、またまた明治神宮参拝を敢行されることは、憲法遵守の責務にも平和外交の基本にも、もとることは明白です。

私たちは、むしろ日本政府が憲法に則り、国際的平和外交に真にふさわしい歓迎をされることを望み、憲法を無視した提案である総理大臣および米国大統領の明治神宮参拝 の中止を要請いたします。