アメリカ合衆国大統領
ジョージ・ブッシュ様

2003年3月19日

日本カトリック正義と平和協議会
会長 松浦悟郎司教
イラク攻撃の撤回を強く要望いたします。

正義と平和を愛する世界の多くの人々が積み上げてきた平和への努力と叫びを無視して行われる今回の、アメリカ主導によるイラク攻撃は、どのような理由であっても、正当化することは出来ません。

イラクに対する攻撃、しかも国連安全保障理事会の決議なしの先制攻撃は、人道的罪であり、国連憲章・国際法にも違反する行為であり、これを黙認することは、国際秩序の瓦解と無法世界化をもたらす重大なことだと思います。

イラクの民衆の50パーセントは15才未満の子どもです。情報によれば、多くの攻撃目標は病院や学校、モスクそして民家の近くにあると言われています。そして間違いなく「付随的損害」を招き、50万以上のイラク人死者を出すことが予想されます。

イラクの独裁政権には、たしかに大きな問題があります。しかし米軍の軍事的圧力の下にせよ査察がそれなりに効果をあげて来ました。イラクがすべての国連決議に従うことを目的に、国連が支持する査察の継続こそが妥当な選択だったのです。

私たちキリスト者は「殺してはならない」の実践として何よりもいのちの尊厳を重んじ、平和・人権・正義をもとめ、国内外の宗教者と連帯し祈りつつ行動していますが、国連の明らかな意向を無視して戦争に踏み切ろうとしている貴国に対し、沈黙することは出来ません。

今からでも、遅くはありません。あらゆる利害を乗り越えて、戦争によって殺されていく多くの人々のことを想い、非暴力による対話の道を勇気を持って選択して下さることを切にお願いいたします。