2004年8月26日

内閣総理大臣小泉純一郎様

米軍ヘリコプターの沖縄国際大学構内へ墜落に対する抗議文

8月13日午後2時過ぎ、普天間基地から飛び立った米軍ヘリが沖縄国際大学の墜落をした件で、私たちは日本政府の在り方と米軍の地位協定をたてに取った行動に強く抗議をします。一歩間違えれば住民に大惨事を引き起こしかねない状況で、「日米安保体制」は私たち平和を希求する国民にとって平和を無くする根源であるという認識を持たざるを得ません。特に戦後沖縄県民にとって本土返還後も基地という重い十字架を一方的に背負わされ続け、「苦痛」と「不安」を強いられた歴史であったことを思えば、今回の事故、及び基地の問題を日本全体の問題として捉えなおし、声を上げる必要があります。

報道関係によると、現場検証は日米地位協定をたてに米軍により一方的になされ、日本側の現場検証がなされていません。負傷者こそ無かったのが幸いですが、事故が日本国内で起きているにも関わらず、今回の対応を見ると、日米地位協定が米軍の都合によってのみ機能しているのではないのかと思えます。このような状況は地位協定のあり方や日米安保体制の問題だけではなく、軍政化された状態ではないかとさえ思えます。

事故原因も明らかにされない現状において、「海兵隊をイラクに派遣するために」という理由のみで飛行再開されるのは、主権はどこにあるのか、いつからアメリカの属国になったのかわかりません。これで日本側の事故調査が許されないのであれば、主権の侵害どころか無視されていることに他ならず、日本政府の無責任行動のあらわれと言わざるを得ません。

この宜野湾市の普天間基地は、市街地の中心に位置しているために危険な基地ということで有名なところです。現在、名護市辺野古への新基地移転を前提としていますが、基地がある限り危険なことは日本中どこに行っても変わりありません。

戦争するための基地がどこにも無い日本を目指すことこそが、「憲法9条」からも「平和を希求する」立場からもあるべき姿ではないでしょうか。

私たちは、今回の事故で再び明らかになった政府の米国に対する依存の体質と、日本の米軍基地化を率先して進めていく日本政府の姿勢に抗議します。

私たちキリスト者は、「馬と戦車にたよるな」(イザヤ31−1)のように「軍備による、まちがった希望に欺かれてはならない。事実、敵意と憎悪を捨てて、将来のために、平和に関する堅固な正しい条約を結ばない限り、すでに大きな危険にさらされている人類は、驚くべき知識に恵まれながら、恐るべき死の平和以外には平和を味わうことが出来ない不幸な時をむかえることになる」(カトリック第2バチカン公会議・世界憲章82)との、教会のあらゆる戦争に反対する基本的立場を表明するとともに、日本政府が、米軍ヘリの墜落事故の徹底した原因究明を行い、二度とこのような事故が起こらないように米国に強く申し入れること、また基地の無い平和な日本の構築に努めることを強く要望いたします。

2004年8月26日

日本カトリック正義と平和協議会

事務局長 長澤正隆