第101代法務大臣 河井 克行 様

2019年10月10日

日本カトリック正義と平和協議会

「死刑廃止を求める部会」

部会長 ホアン・マシア神父

10月10日の「世界死刑廃止デー」にあたり死刑執行停止を求めます

私たち日本カトリック正義と平和協議会「死刑廃止を求める部会」は、本日10月10日の「世界死刑廃止デー」にあたり、先月組閣のあった第4次安倍第2次改造内閣において第101代法務大臣に就任された河井克行衆議院議員(広島3区)に対し、法相在任期間中に死刑の執行を命じることがないように要請します。

幼いころから祇園教会において、また広島学院中学・高等学校において、カトリック教会の信仰と考え方を学んでこられた河井大臣のことですから、現在のカトリック教会が、福音の光のもとに「死刑は許容できない」と教えていることをきっとご存知だと思います(『カトリック教会のカテキズム』2267番参照)。また、本年11月23日から26日にかけて、約38年ぶりとなるローマ教皇の来日が実現しますが、教皇庁(バチカン)をたびたび訪れ、今回の教皇来日に大いに貢献したと自負しておられる河井大臣のことですから、なおさら教皇フランシスコの次のような呼びかけもよくご存知のことでしょう。

「いつくしみの特別聖年は、一人ひとりの人間のいのちと尊厳を大切にする方法が世界中で発展するのにふさわしい機会です。たとえ犯罪者であっても、神のたまものであるいのちを生きるという不可侵の権利をもっているからです。わたしは、世界の指導者が死刑廃止に向けて国際的な合意に至るよう、彼らの良心に訴えます。そしてその中のカトリック信者の皆さんが勇気ある行動をとり、このいつくしみの特別聖年の間に死刑を行わないという模範を示すよう願います。」(教皇フランシスコ、2016年2月21日)

それにもかかわらず、河井大臣が9月11日の初登庁後の記者会見において、「死刑を廃止することは適当ではない」とお答えになっていたことを、私たちは大変危惧しています。河井大臣もたびたび強調されているように、法務省(Ministry of Justice)はその名のとおり、「社会正義」の実現という崇高な使命を担っていると私たちも認識しています。ですが法務省として目指す「社会正義」とは一体何なのか、そしてどのような手段――疑いもなく「平和的」なものであるはずですが――でそれを実現していくのかについて、今一度深く考察してもらいたいと願います。

私たちは「すべてのいのちを守るため ~PROTECT ALL LIFE」というテーマを携えて来日する教皇フランシスコと声を合わせ、再度あなたの良心に対して訴えかけます。どうか、死刑の危機に直面している人々を含めた「すべてのいのち」を守ってください。どうか、死刑執行停止という勇気ある行動を通して「すべてのいのち」の尊さを人々に証ししてください。そしてどうか、50年ぶりの国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)開催国の法務大臣として、「すべてのいのち」が大切にされる「社会正義」の実現に真摯に取り組む日本の姿勢を国際社会に示してください。

 印刷用PDF