内閣総理大臣 安倍 晋三 様
法務大臣 山下 貴司 様
2019年8月2日
日本カトリック正義と平和協議会
会長 勝谷太治司教
2019年8月2日の死刑執行に対する抗議声明
私たち日本カトリック正義と平和協議会は、2019年8月2日に、東京拘置所の庄子幸一さん(64歳)と福岡拘置所の鈴木泰德さん(50歳)に死刑が執行され、その尊いいのちが国家の手によって奪われたことに対して強く抗議します。
現ローマ教皇フランシスコは、就任以来折に触れて、死刑に反対するカトリック教会の立場を繰り返し強調しています。そうした中、カトリック教会は昨年、福音の光のもとに「人格の不可侵性と尊厳への攻撃」である死刑は許容できないという教会の教えを改めて確認し、全世界で死刑が廃止されるために取り組むという決意を新たにしました(『カトリック教会のカテキズム』2267番参照)。カトリック教会は、刑罰制度の厳格な適用により、死刑以外の方法で、犯罪の再発を防止し、社会の安全を確保することが可能になってきた今の時代、人間のいのちの尊さという原点に立って、死刑制度はその存在理由をもはや失ったと考えているからです(『いのちへのまなざし【増補新版】』79参照)。
日本のカトリック教会の中でも、死刑廃止を訴える声は長年にわたり、常に上がってきました。いのちの尊さをイエス・キリストから学んだ私たちは、たとえ困難ではあっても、回心とゆるし合い、真の和解へと繋がるための希望を大切に考えています。私たちは教皇フランシスコや全世界のカトリック教会と声を合わせ、残酷でいつくしみに欠ける刑罰である死刑の廃止と、それに向けた執行の即時停止を強く訴え続けます。