Prot.no.SC-JP23-05

2023年12月10日

内閣総理大臣 岸田 文雄 様
法 務 大 臣 小泉 龍司 様
外 務 大 臣 上川 陽子 様

「世界人権宣言」75周年にあたり
「すべてのいのちと人権を守るために死刑を廃止してください」

 1948年12月10日、第3回国際連合総会において「世界人権宣言」が採択されてから75周年を迎えた本日の「世界人権デー」にあたり、私たち日本カトリック正義と平和協議会は日本政府に対し、すべての人のいのちと人権を守るために、死刑の執行を明確に停止し、「死刑廃止国際条約」(自由権規約第二選択議定書)の批准に向けた具体的取り組みを直ちに開始するよう要請いたします。

20世紀前半に二度の世界大戦を経験した人類社会は、すべての人がかけがえのない尊厳と不可侵の権利を持つということを確認し、人権保障こそが世界における自由、正義、平和の礎であることを宣言しました。現代のカトリック教会では、国家による最大の人権侵害である戦争と並んで死刑も、人格の不可侵性と尊厳への攻撃にほかならず、自由、正義、平和を破壊する要因として許容できない刑罰であると教えています。世界中から死刑を廃止するために働くことは、カトリック教会の使命なのです*。

また、現在再審公判が開かれている確定死刑囚、私たちの兄弟パウロ袴田巌さんの人生は、死刑はその執行方法のみならず、存在自体が残虐性と非人道性を有した刑罰だという現実を突き付けてきます。この世に死刑のある限り、人権が守られることは決してありません。

4年前に日本を訪れた教皇フランシスコは、首相官邸において、「すべてのいのちを守るため」という訪日テーマを説明しながら、すべてのいのちがもつ不可侵の尊厳と、さまざまな苦難の中にいる兄弟姉妹に連帯と支援を示すことの大切さを認識するよう呼びかけました(2019年11月25日)。私たちは教皇フランシスコと、また全世界のカトリック教会と、そして善意あるすべての人と声を合わせ、繰り返し日本政府に訴えます。すべてのいのちと人権を守ってください! 死刑を廃止してください!

日本カトリック正義と平和協議会
会長 ウェイン・バーント
担当司教 エドガル・ガクタン
協議会一同

*<参考> 『カトリック教会のカテキズム』2267、ローマ教皇フランシスコの回勅『兄弟の皆さん』263以下参照。